藤色のかきつばたが咲く夜
相思相愛の二人が向かい合う影が障子に映る。
密かに思い合っていた若い二人の美男がひしと
抱き合いひとつの影となり・・・
美しい 「 衆道 」 と 「 忠義 」 を描いた歌舞伎
「 染模様恩愛御書 そめもようちゅうぎのごしゅいん 」 を
母と観劇しました。
「 衆道 」 とは男色のことで戦国武将の間ではごく自然なことで
主従関係と深く結びついていました。
友右衛門(市川染五郎) と数馬 (片岡愛之助)は
男色の契りを交わして、 数馬の父の敵討ちを果たします。
ハイライトは燃え盛る蔵のシーン。
主君のため、家宝の朱印状を救い出すために友右衛門は火の中へ飛び込みます。
猛火の中、進退窮まり自らの腹を切り
その中へ朱印状をいれて命を賭して守りぬきました。
本火を使った火事場シーンは手に汗握り客席の私達にも火の粉が!
阿鼻叫喚をきわめながら家宝を死守する迫真の染五郎さんに
胸がキューっと熱くなりました。
端正で艶があって品のある染五郎さんが
長らく封印されていた 「 衆道 」 で歌舞伎の新しい間口を広げ
これからの活躍にますます期待です。
焼死した友右衛門にすがって泣き崩れる数馬・・・そして幕
「 衆道 」 がごく自然に私の心に美しく残っていました。
Hidden story was disclosed.